今回のテーマは投球障害肩に対するトレーニング
前回、投球障害の病態について学んだので
今回は投球障害になってしまった時の競技復帰までの流れを紹介します。
投球障害肩の復帰までの流れ
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投球障害の復帰にはこのような流れを辿ります。
しかし、環境が不十分であったり理解が不足しているとメディカルリハビリテーションを飛ばしてしまったり、アスレティックリハビリテーションが十分に行われなかったりします。
投球動作における肩関節機能
はじめに、投球動作(phase)ごとに求められる肩関節機能についてまとめていきます。過去の記事でもphaseの解説をしていますが、各phaseのポイントとなる点をここでおさらいしていきます。
|Early-cocking - Late-cocking
テイクバック~TOPまでのphase。
ここでの動きの障害予防のためのチェックポイントは
・TOPポジションで両肩と肘がなす「肩-肩-肘ライン」が出来ているか
・TOPポジションが前額面・水平面上で直線的に作れているか
これらが肩関節のストレスを軽減させると考えています。
|Late-cocking - Acceleration
MER(maximum eternal rotation)が特徴的なphaseです。
胸を張り腕をしならせていきます。
※勝手にしなるのが正しいです。
チェックポイント
・ゼロポジションが取れているか
・水平外転が過度になっていないか
・GHだけでなく肩甲骨、胸椎、胸郭などが適切に動いているか
この相では、投球側の肩が十分に上がりきらず、ゼロポジションとならないまま加速してしまうと、肩前方部分や肘内側を痛める原因となりやすいです。
|Acceleration
日本語では加速期とも言います。
野球肩において痛みを訴えることが多い場面であることも特徴です。
Accelerationではここまでの動きの結果として異常が出ていたり、痛みが出ている事がほとんどです。
このphaseの動きが問題となることは多くはありませんが、可動性の低下・関節安定性の低下、股関節の回旋可動性低下などがあると、肩関節のストレスを強める要因となります。
|Follow-through
Follow-throughではブレーキの役割が大きくなります。
このphaseでは筋肉が引き延ばされていくため筋肉への負担が大きくなります。
肩甲骨まわりや背筋の硬さがあるとケガのリスクが上がります。
まとめ
ざっくりですが各phaseごとのチェックポイントと必要な機能をまとめました。
このほかにも必要な能力や機能はありますが、なんとなくこのように理解してもらえると良いかと思います。
トレーニングの構成
投球障害のトレーニングでは痛みが出ている原因を治していく事が大切です。
理想はひとりひとりに合ったトレーニングを処方して実施していくのがベストですが、なかなかそれが難しいです。
まずは、投球障害肩に共通してみられやすい機能障害や動作のエラーをもとに、肩の機能を改善していきましょう!
トレーニングの順番は肩肘に限らずですが、可動性→安定性→協調性→出力の順にやっていきます。
可動性
可動性は単に柔らかい事ではなく、動かしやすいかどうか、必要な範囲を動かせるかどうかが重要になります。
柔らかくなくて良いというわけではありませんが、きちんと動かせることの方が優先です。
安定性
安定性は文字通りですね。
安定した土台があってこそ動かしたい場所を動かすことが出来ます。
肩で言えば肩甲骨がぐらぐらだとその先にある腕の動きは安定しません。動かしたい場所の一個近いところがきちんと止められるか、安定して動かせるかが重要です。
協調性
協調性については説明が難しいのですが、複数の関節を適切な配分で動かせる。とか、いくつかの筋肉を協同させて動かすことが出来るといったことです。
投球動作は全身運動なので単純に肩を上手く動かせても股関節や体幹が上手く使えていなければ意味がありません。
全身を上手くバランスを取りながら使えるということが大切です。
最後に
可動性、安定性、協調性に関しては肩や肘など実際にケガをした部位だけでなく全身で整えていく必要があります。
投球動作は全身運動なので当然ですね。
ケガ直後の投球が制限されている時期に股関節や体幹などいわゆる患部外の能力を高め、患部の状態に合わせて患部のトレーニングもしていきましょう。
これらの能力が整ったら実際にフィールドに出て徐々に投球を開始していきます。(アスレティックリハビリテーション)
長くなってきたので今日はこの辺りにしておきましょう。
ケガをして、落ち込んでしまうかと思いますが、ある意味で体を整えるチャンスでもあります。
いざ復帰となった時にスムーズに復帰できるようにしっかりと身体を作っていきましょう!!
では、また!
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