今回のテーマは投球障害肩
今回の記事は
こんな人におススメの内容です!
投球障害肩について知っておくと予防にも復帰にも役立つよ。
投球動作の基本については↓でチェック!
・投球動作とは?
投球動作は全身的な運動を通して、下肢、体幹、上肢へと力を伝達していきその力を指先からボールへと伝えていく一連の動作のこと。
・投球障害肩とは?
肩、肘のみならず股関節や足首など全身の機能障害(能力の低下やアライメントの異常など)が運動連鎖(一連の動作)の破綻につながり、身体で最も可動域の大きい肩甲上腕関節に頻回なメカニカルストレスを与えることで投球が困難になります。
つまり、
・肩や肘だけでなく全身のあらゆる部位が原因で
・肩関節に対するストレスが大きくなり
・投球が困難になる
のが投球障害肩です。
投球障害肩になると、
投げると痛くなり、練習や試合を休むと痛みがなくなる。そして、また投げると痛くなる。を繰り返してしまいます。
多くの場合日常生活では痛みがなきため困らないですが、“なんの対処もせずに復帰すると悪循環を招いてしまいます“
なぜ投球障害肩になってしまうのかな??
・投球障害肩の原因
これまで投球障害とその原因についてさまざまな研究報告がされています。
結論から言うと、
“そもそも投球は肩関節に負担のかかる動作であり、それを繰り返し行うことで組織の微細損傷が重なることで投球障害を生じる“
投球自体がリスクを増大する原因であるのですが、他にも…
などが投球障害の原因になります。
これまでたくさん原因となるものを並べてきましたが、
環境因子、身体因子、技術因子、そのいずれかの軽微な問題が全身の運動連鎖の破綻につながり、最終的に肩関節に負担をかけてしまうのです。
この繰り返しが投球障害肩となります。
(信原克哉:肩 その臨床と機能 2012)
(広岡淳:投球障害肩 1989)
(米田稔:投球障害肩の治療 1991)
(岩堀裕介:成長期の投球障害へのアプローチ 2012)
・投球動作の相分類
投球動作の分析に関する文献は数多くあります。
各文献ごとに微妙に報告が異なっていますが、投球動作に特徴的な7つの動作から5相に分類して紹介します。
(田中洋:投球動作のバイオメカニクスと投球障害 臨床スポーツ科学 2012)
1.Wind-up phase
投球動作の開始から踏み出し脚の膝が最も高いポジションに上げられる(KHP:Knee High Position)まで。
重心の移動は縦方向で多く、動きのきっかけづくり的な要素が大きい。
※クイックでは省略される相
2.Early cocking phase
KHPから踏み出し足の接地(FP:Foot Planting)まで。
いわゆるトップはこの相の中に含まれる。
強い並進運動によって推進力を生み出す。
3.Late cocking phase
FPから肩関節最大外旋位(MER:Maximum External Rotation)まで。
下肢→骨盤→体幹部→肩関節の順に素早い回旋が起きる。
投球障害肩での疼痛の訴えが多い相でもある。
4.Acceleration phase
MERからボールリリース(BR)まで。
腕をしならせて指先からボールへと力を伝える。投球動作の中で最も痛みの訴えが多く、投球障害肩の約70%がこの相で疼痛を訴えるとの報告もある。
5.Follow-through
BR以降の減速相。
手の速度を落としていき、動作を終了する。
・投球動作を運動連鎖で見てみよう
投球動作はWind-upからFollow-throughまで途切れることなく一連の流れによって実施されます。
この時下肢から骨盤を介して体幹へ、体幹から上肢へ、そして指先からボールへとエネルギーが伝わっていきます。この過程が運動連鎖です。
投球動作における運動連鎖を視覚的にわかりやすく表現するとこんな感じになります。
(松久孝行:投球動作解析の検討 2002 一部改変)
A. 正常の運動連鎖での投球
Aは正常の運動連鎖での投球を表しています。
下肢・体幹・上肢へとエネルギーが効率よく伝達できているのがわかります。
それぞれの山が適切であり、タイミングよく伝達出来ている理想的なフォームになります。
しかし、この運動連鎖が崩れてしまうとリスクが大きくなります。
B. 機能低下
Bは下肢の機能低下を表しています。
青の山が低く、全体のパフォーマンスも低くなっているのがわかるかと思います。
下肢の機能低下が原因なのに上半身で代償しようとすると計画の原因にもなります。
パフォーマンス低下の原因が何なのかしっかりと判断していくことが重要です。
C. タイミングのミスマッチ
Cはタイミングのミスマッチを表しています。
青、緑、赤それぞれの山の高さ(機能またはパフォーマンス)は十分にありますが、タイミングがずれているために全体のパフォーマンスの高さが低くなっています。
動作が未熟で、投球フォームの異常が出やすい学童期や成長期の選手はCのパターンが多いです。
いつもの倍くらいのボリュームになってきたのでこの辺でお開きにしましょう。
投球障害の要因は様々ですが肩や肘が痛いから肩肘の強化をしても問題解決ができないことがあります。
肩肘が痛いのに原因は体幹だったり、脚だったり、投球動作は全身運動なので全体に目を向ける必要があります。
今回学んだことをうまく活用して怪我予防や早期復帰に役立ててみてください!
相談があれば僕のことも活用してくださいね!
では、また!
投球障害からの復帰についてはここからチェック!!
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